出血性リスクの評価~HAS-BLEDスコア~

本記事では、私が病棟薬剤師として担当していた循環器分野より、 DOAC(直接経口抗凝固薬)(以前はNOACと呼ばれていた…)やWf(ワルファリン、ワーファリン)といった 抗凝固薬を服用する際に重要となる、出血性リスクの評価を簡単にまとめてみた。

出血性リスクについて

DOACやWfの使用には、血栓塞栓症リスクと出血リスクの両方に注意が必要だ。血栓塞栓症リスクについては別記事に記載した。抗凝固療法開始を決める際、出血性合併症の予防のため、出血性リスクを評価するツールとしてHAS-BLED(読み方:ハス・ブレッド)スコアが役立つ。実際に抗凝固療法を実施する際には、それぞれの患者でリスク(出血性合併症等)とベネフィット(血栓塞栓症の回避)を考えることが肝となる。

HAS-BLEDスコア

抗凝固療法において出血性リスクを評価する上で強く推奨されているのが、このスコアである。HAS-BLEDスコアは合計9点で評価され、点数が高いほど出血性合併症のリスクが高くなる。年間の大出血発症率は3点では2%弱、5点では9%弱というデータもあり、 HAS-BLEDスコア が3点以上で高リスクとされる。

危険因子 点数

Hypertension

高血圧(収縮期血圧>160mmHg) 1
Abnormal renal and liver function 腎機能障害、肝機能障害 各1
Stroke 脳卒中 1
Bleeding 出血 1
Labile INRs 不安定な国際標準比(INR) 1
Elderly

年齢(>65歳)

1
Drugs or alcohol

薬剤(抗血小板薬やNSAIDs)、アルコール

各1