DOACの減量基準一覧

本記事では、私が病棟薬剤師として担当していた循環器分野よりDOACの減量基準を中心にまとめてみた。

DOACの使用には、脳梗塞発症リスクと出血リスクの両方に注意が必要だ。そのため、各薬剤でしっかりとした用量設定がなされている。しかしながら、基準は若干異なる。 各薬剤の腎機能や併用薬に関する減量基準一覧も掲載したので、是非ご活用を!リクシアナにおける15mg規格の適応追加にも対応。

DOAC(直接経口抗凝固薬)のリスクについて

DOAC:direct oral anticoagulants(直接経口抗凝固薬)(以前はNOAC:novel oral anticoagulantsとも呼ばれていた…)の使用には、脳梗塞発症リスクと出血リスクの両方に注意が必要だ。各薬剤において減量基準が定められており、腎機能や相互作用を確認し、適正用量であるかどうかを確認することが重要となる。抗凝固薬は効果と安全性のバランスが難しく、過量投与においては出血性リスクが増大し、過小投与においても血栓性リスクが増大することが危惧される。出血性リスクを恐れて、減量基準を満たさないケースに減量(アンダードーズ)投与が行われることが、DOACにおける課題のひとつとなっている。また、抗凝固療法の必要性に関しては、CHADS2スコアやCHA2DS2-VASCスコアにて評価することができる。出血リスクに関しては、HAS-BLEDスコアにて評価することができる。それらについてはまた記事を掲載する。

NVAF(非弁膜症性心房細動)に対するDOACの減量基準一覧

成分名主な薬剤名 減量基準 腎機能による禁忌 代謝経路
エドキサバン リクシアナ ●30mgへの減量
体重60kg以下、
60kg超において
Ccr:50mL/min以下
もしくは
P糖蛋白阻害剤併用例
●15mgへの減量
80歳以上で出血リスクあり
(頭蓋内、眼内、消化管等
出血の既往、体重45kg以下、
Ccr<30mL/min、NSAIDs常用、
抗血小板剤の使用のいずれか)
Ccr<15mL/min 大部分はP糖蛋白質
リバーロキサバン イグザレルト Ccr:49mL/min以下 Ccr<15mL/min CYP3A4
アピキサバン エリキュース 80歳以上,
体重60kg以下,
Scr1.5mg/dL以上
のうち2つ以上に
該当する場合
Ccr<15mL/min CYP3A4
ダビガトラン プラザキサ Ccr:30~50mL/min,
P糖蛋白阻害剤併用例,
70歳以上,
消化管出血の既往例
Ccr<30mL/min P糖蛋白質