ホームページ作成・公開に必要なもの

本記事では、筆者が今までに関わった病院におけるホームページの企画、職能団体やグループでのホームページ運営の経験を元に、ホームページ(HP、Webサイト)をどうすれば公開できるか、作成にはいくらくらい費用がかかるのかを簡単に解説する。

病院、施設、薬局などでホームページを公開したいという時、どのようにすればホームページを開設することはできるのだろうか?また、学会等の団体やイベントでホームページを作成したい場合もあるだろう。ホームページは、無料で作成できるサービスから、多くのページや動画等も活用したような大規模なものまで、規模や目的、予算に応じて様々なサービスがある。

どのようなサービスを契約すればよい?

ホームページを開設するには以下のような手段が考えらえる。

作成ツールを活用する

一般的にホームページを作成するにはレンタルサーバーを契約する必要がある。最近では大抵のレンタルサーバーでWordpress等のCMSと呼ばれるWebサイトやブログを制作・管理できるツールを簡単にインストールして使用することができる。難しい知識がなくても、たくさん配布されているテンプレートやプラグインを活用して、デザインもよく、スマホにも対応し、それぞれの目的に応じた充実したWebサイトを運営することができる。Wordpressは無料で使用でき、 テンプレートやプラグインも無料から有料のものまである。Wordpress以外では有料のCMSもあるが、Wordpressは日本国内でのシェアは断トツで、有名な医療機関でも多く利用されていると思われ、無料で安心して使用しやすいだろう。レンタルサーバーやドメインの契約も必要となる。

作成サービスを利用する

一番楽にホームページを手に入れる方法として、作成サービスがある。インターネットプロバイダのサービスについていることもあるだろう。Wix(ウィックス)、Google Sites(グーグルサイト)、Jimdo(ジンドゥー)、Ameba Ownd(アメーバオウンド)、Weebly(ウィーブリー)など、さまざまなサービスがある。それぞれプランも無料のものからあるが、実際に宣伝としてホームページを活用するには有料プランや必要なオプションをつけることが適しているだろう。ただ単に医療機関名、住所、簡単な案内文を載せるだけであれば無料でも可能だ。他の作成方法とは異なり、別途レンタルサーバーの契約は必要ない。必要に応じてドメインの契約は必要となる。

1から作成する

1から自分で作成するとHTML、CSS、PHPといった専門知識が必要になり、現実的には難しい。そこで、ホームページ・ビルダーやホームページV4等のソフトが発売されている。専門知識がなくても豊富なテンプレートのなかから選んで作成することで、それなりのデザインの出来栄えにはなるだろう。メリットしては自由なデザイン編集が可能だ。しかしデメリットとしては、慣れるまでに時間がかかるのと、デザインをリニューアルする際には手間がかかる。また、レイアウトを綺麗に揃えるのが難しい場合も発生するかもしれない。書類作りを綺麗にできる人には向いているかもしれない。別途レンタルサーバーやドメインの契約も必要となる。外部に委託する予算に余裕があったり、担当にできそうなスタッフがいない場合には外部業者に委託するとよい。プロに任せればしっかりとした仕上がりになる。業者選びは地元の企業であれば融通がきくかもしれない。インターネット上のやり取りだけでも進められるため、全国的な企業に頼むのも問題ない。ページ数、画像作成、素材購入、予約や問い合わせといったオプション次第で大きく費用は変わってくるが、最初の立ち上げだけでも10万以上はかかるだろう。月々のメンテナンスもお願いすると月数回の更新でも1~2万円程度はかかるだろう。別途レンタルサーバーやドメインの契約も必要となる。

レンタルサーバーを借りるには?

大規模なWebサービスを展開する場合は、世界的にシェアの多いAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureを使用することが多いだろうが、医療機関が患者や他医療機関との連携のためにホームページを持つためには、国内のサービスで十分だろう。上記2つのサービスは詳しいサーバー設定は可能だが、Webサーバーに詳しくないと契約自体難しい。国内のVPSサービスやクラウドサービスも同様に、自由に機能をインストールできるが、初心者には構築が難しい。

簡単に契約するには、「さくらインターネット」がおすすめだ。官公庁でも使用されており安心感は高い。胆振地震で大停電があった際にも北海道内のサーバーを稼働継続できた実績もある。立ち上げの際にはスタンダードプランで十分だろう。アクセス数が多いや掲載コンテンツの容量が多い場合には、上位プランも考慮した方がよい。開設後にアクセス数が大幅に増えた際には上位プランへの変更を、ニュースに載るような事態となった際など一時的にパンクするほどのアクセス数となった場合には、コンテンツブースト(CDN)といったオプションもつけることができる。

ドメイン(アドレス)を持つには?

ドメインとは、インターネット上の住所のようなものである。ドメインを取得することで、ホームページは「http://〇〇〇〇〇(好きな文字).jp」でアクセスできるアドレス(URL)を取得したり、メールも 「〇〇〇〇〇@〇〇〇〇〇(好きな文字).jp」で受信できるメールアドレスを取得したりすることができる。上記記事に記載したレンタルサーバーを契約する際に、一緒に契約することもできる。別々な会社のサービスで契約することもできるが、同じ会社でホームページのサービスとドメインを契約する方が設定は簡単だろう。

ドメインは自分で決める好きな文字の後ろにくる「.jp」や「.com」の種類によって費用が異なる。では何を選べばよいだろうか?日本において企業でも個人でも一般的に使用されている「.jp」は年4000円程度で取得できる。他には日本だけに限らず世界的によく用いられている「.com」は年2000円程度で取得できる。法人しか持てないドメインもある。病院でもよく使用されている医療法人等や学会等の社団法人が取得できる「.or.jp」、薬局等の株式会社や有限会社で取得できる「.co.jp」、法人化していない任意団体で取得できる「.gr.jp」は年8000円程度で取得できる。一般的にはローマ字で好きな文字を決めるが、他がすでに取得しているものにはできない。「.jp」や「.com」では、取得数制限もなくたくさんの個人や団体が取得されており、他と被って取得するのが難しい場合も多い。「.or.jp」「.co.jp」「.gr.jp」は1組織1ドメインと制限されているため、短い文字でも割りと取得しやすい。ローマ字ではなく日本語も選択できるが、メールアドレスは日本語で設定できなかったり、海外からのアクセスを考慮すると、医療機関等のドメイン取得においては避けた方が無難だと私は考える。

おすすめは?

おすすめは、レンタルサーバーとドメインを契約し、Wordpressを使用してホームページを契約することだ。そうすることで、最低限の費用でそれなりのデザインのホームページができる。外注せず自分たちで管理することで、頻繁かつスピーディに診療日やお知らせなどの更新もできる。契約プランも各会社でいろいろあるが、安さを求める方には「さくらインターネット」のスタンダードプランとドメイン契約の組み合わせがおすすめだ。「.jp」ドメインを追加しても年間9千円程度で管理できる。導入時には、レンタルサーバー初期費用に千円程度、かかり、Wordpressの有料テンプレートも数千円~1万円程度購入しても、1万円程度で立ち上げることができる。ある程度アクセス数が見込まれる規模の大きい医療機関はさらに上位のプランを検討していただきたい。「エックスサーバー」であればドメイン1つまで無料となっており、「お名前.com」であればほとんど転送量の制限を気にすることがなく、動画等の容量の大きいファイルにある程度アクセスしても大丈夫だ。